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ひとりぼっちの惑星!?

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ひとりぼっちの惑星!?

今年の5月に、興味深いニュースがあったのをご存知だろうか?『銀河系(※1)には惑星があふれている』というものだ。

読者諸賢の中には「なんだい、いままでだって系外惑星(※2)が数多く見つかっているじゃないか。銀河系には大量に星があるのだから、その星(恒星)を周回する惑星もそりゃあ大量にあるだろう」と思われる方もいるかもしれない。

実際に観測結果から、恒星を周回する惑星が珍しいものではないことが分かっている。

では、このように述べるとどうだろう?

『星の大集団である銀河系には、数千億という途方もない数の恒星が存在している。その約2倍の数の、恒星の周りを周回しない一人ぼっちの惑星『浮遊惑星』が銀河系に存在しているかもしれないとしたら……!?』

宇宙は浮遊惑星で溢れている?

この研究結果は、「重力マイクロレンズ(※3)」という現象を利用して、惑星を検出する国際共同観測チーム 「MOA」、「OGLE」によって発表された。

彼らは2006〜2007年の2年間に渡って得られた500ほどの観測結果から、浮遊惑星と思われる天体を10個検出した。

それは銀河系内に数千億個存在している恒星と同数か、その2倍もの数の、浮遊惑星(その質量は木星並!)が、この銀河系内を彷徨っている可能性を意味するのだ!

では、どうしてこれほど多くの浮遊惑星が存在するのだろうか?

その答えを知るには、浮遊惑星がどのようにして形成されたのかを考える必要がある。

現在、浮遊惑星は以下の2つの起源が考えられている。

  1. 1. 恒星と同じように宇宙空間のガスと塵が重力により集まって形成された。
  2. 2. 元々、地球や木星と同様に恒星の周りを公転していたが、他の惑星にはじき出されてしまった。

1の説では、そもそも木星程度の質量の天体が形成できるのかが疑問視されているのに加えて、これを起源とする浮遊惑星が見つかる確率を考えると、せいぜい500個中、 1、2個しか見つからないはずである。

2の説では、惑星を保有する恒星の数と同じ程度であればうまく説明できるのだが、今回見つかった浮遊惑星10個というのは想定の1.5倍程度多い計算になってしまう。

つまり今のところ、この浮遊惑星の数の多さをうまく説明することはできていないのである。今後はこの結果を説明するために、惑星科学者たちによる議論が活発に行われるだろう。

また最近では、恒星から遠く離れた場所を周っていた惑星が、恒星の最期である超新星爆発によって吹き飛ばされ、宇宙空間に放り出されるという説が提唱されている。

しかし、遠い位置にある惑星はそもそも数が少ない上に、恒星の超新星爆発という現象は、未知の部分が多いので、この説についてはまだまだ議論が必要である。

おわりに

残念ながら「太陽」を持たない浮遊惑星は恐らく冷え切っていて、たとえ地球のように岩石でできていたとしても、地表面は極寒であり、とても生命が住めたものではないだろう。

まさに「暗黒の惑星(※4)」である。 しかし、木星のようなガス惑星の場合だと、分厚い大気などによる圧力や保温効果次第では、地熱をエネルギー源とした生命活動が行われる可能性もある。

その可能性はごく僅かかもしれないが、なにせ銀河系に数千億個もあるのだ。 もしかしたら、この宇宙のどこかに生命を育む真っ暗な惑星がひっそりと存在しているかもしれない。

原川 紘季(東京工業大学 地球惑星科学専攻)

(参考論文)1: Sumi et al., Nature, 2011 2: Veras et al., Monthly Notices of the Royal Astronomical Society, 2011

  • ※1 銀河系 ここでは、太陽系が属する天の川銀河のこと
  • ※2 系外惑星 太陽以外の恒星の周りを周る惑星のこと
  • ※3 重力マイクロレンズ法

    原理を(できるだけ!)簡単に述べると、

    1. 1:観測者は、ソース天体と呼ばれる、光源となる天体に注目している。

    2. 2:光源となる天体(ソース天体)と観測者の間を、偶然、浮遊惑星のような別の天体(レンズ天体)が横切るという状況を考えよう。するとレンズ天体が通ることにより、直進するはずのソース天体の光が曲げられて、本来は届かないはずの光が余分に地球に届くのである。つまり、名前の通りレンズと同様の働きをして、観測者にはソース天体が、突然明るく見えるようになる。(天体が本当に明るくなっているわけではない)

    3. 3:この増光現象は、レンズ天体の質量に応じた期間起こるので、観測者は増光期間からレンズ天体の質量を推定できるというわけだ。

  • ※4 暗黒の惑星 ここでは、暗黒の宇宙空間に浮かんでいることから、このように表現している。以前コラムで紹介された、反射率が低い(黒い)惑星という意味での「暗黒の惑星」とは違う意味であることにご注意いただきたい。個人的には、以前の黒い惑星は「漆黒の惑星」と表現する方がよいと思っていたりする。

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