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キュリオシティーの使命

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キュリオシティーの使命

NASAの火星探査ローバー・キュリオシティーが無事火星に着陸したのは8月6日。以来発表された鮮明な画像には目を見張るばかりである。

http://mars.jpl.nasa.gov/msl/multimedia/images/?ImageID=4559

このような火星の様子を送ってきてくれること自体、素晴らしい成果の一つであることに間違いない。またキュリオシティーを火星に届けるために多くの工学的なハードルがあったことは想像に難くないだろう。

そのような点を踏まえた上で、このコラムではキュリオシティーの理学的な側面について取り上げてみたい。

キュリオシティーが目指す科学的目的には火星における次の四つの要素が含まれている。

  • 1.生命の存在
  • 2.気候変動
  • 3.地質学
  • 4.有人探査の準備

私見で申し上げれば、これら4つの目的の中で地質学については皆さんがイメージしにくい部分があるのではないかと思う。しかし、私が一番注目しているのはこの地質学についての調査である。

火星には地質学的に興味深い点が沢山ある。

そのうちの一つは流水地形の存在である。現在の火星にはほとんど水がなく、極冠にドライアイスと共に氷として存在している程度である。しかし、三角洲等の河川や海洋に伴って作られる特徴的な地形があることが報告されている。これはすなわち過去の火星表面が、液体の水が存在できるほど温暖な状態であったことを示唆している。

キュリオシティーにはその場で岩石の組成を分析することが出来る測定機器が搭載されている。これらの装置は、岩石を溶かしてガスにして元素組成を分析したり、鉱物から反射した光を解析してどのような鉱物の種類であるかを同定したりすることが出来るのだ。

この装置を使うことで、火星の表面が温暖で液体の水を湛えていた状態から現在の極寒な状態へとどのように変化してきたかについて、大きな手がかりが得られるのではないかと考えられている。

火星の表面温度の歴史は火星が持っていた大気の量の進化とも結び付くため、火星大気がどのように失われていったのかという謎にも新しい知見が得られるかもしれない。

また、もう一つ特徴的なのは南半球と北半球の違いだ。

火星の北半球はクレーターが少なくのっぺりとしているのに対して、南半球はクレーターでびっしりと覆われゴツゴツしている。北半球のクレーターが少ないことは北半球の表面が比較的新しいことを意味しているが、なぜ北半球だけ新しいのかは未だに分かっていない。キュリオシティーが詳細な岩石組成を測ることによって、この違いの起源の足がかりとなる証拠を得ることができるかもしれない。

今回は上の二つについて簡単に紹介したが、これら以外にもキュリオシティーには様々な可能性と使命が秘められている。今後の探査の成果発表を楽しみに待ちたいのと共に、是非みなさんにも最新のニュースをフォローして頂ければと思う。

立浪千尋(東京工業大学 理工学研究科 地球惑星科学専攻)

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