誰だって、本当のことを知りたい。世界をにぎわす様々な知らせを、伝わる言葉で。

ホーム

宇宙を知る

本当に惑星!?

最新の研究結果を、わかりやすく伝える

本当に惑星!?

東京大学、国立天文台、東京工業大学の研究チームは、ハワイ島のマウナケア山頂にある、すばる望遠鏡を用いて、GJ504 (おとめ座59番星とも呼ばれます)という星の周りに存在する惑星の姿を捕らえました。

手前味噌ではありますが、共同研究者として参加している筆者自身から少し紹介させてもらいたいと思います。

GJ504は、おとめ座の方角、地球から約57光年離れた場所にあります。質量は太陽の約1.2倍と少し重いのですが、太陽に非常に良く似た星です。このGJ504で約43.5AU 離れた場所に存在する、木星の3倍から5.5倍もの質量を持つ惑星の姿が捕らえられました。

遠くにある惑星の姿を捕らえるためには、克服しないといけない2つの困難があります。

  • (1) 昼間の太陽が明るいように、近くにある明るい恒星が暗い惑星の姿を隠してしまう
  • (2) 地球の大気が揺れ動くことで、光がぼやけてしまう

今回、日本のチームは、HiCIAOという補償光学装置で、地球大気の揺らぎを逐次補正しながら、明るい恒星を覆い隠すことで、赤外線で暗い惑星の撮影(直接撮像と言います)に成功しました。

© 国立天文台

これまでにも、ケック望遠鏡(NIRC2)、ジェミニ望遠鏡(NIRI+ALTAIR)、超大型望遠鏡(NaCO)を用いて、太陽系以外の惑星の姿を捕らえた例はあります。また、すばる望遠鏡でも過去に 2例、GJ758B, κ アンドロメダでも惑星の姿を捕らえています。

それでは「今回の発見は何がスゴいの?」と思われますよね。今回発見された惑星は、「本当に惑星だ」と言えるのです。

実は過去に惑星の姿を捕らえたという報告は、「本当に惑星かどうか」が分からないのです。それは惑星を持つ恒星の年齢が非常に若い上に、きちんと決まっていないことが大きな問題になっています。

なぜ、恒星の年齢が大事なのか。これには、惑星誕生のシナリオが関係しています。

惑星は時間とともに、冷えていくのですが、惑星が元々、ホカホカの状態 (hot start modelと言います)で誕生したのか、冷たい状態 (cold start modelと言います)で誕生したのかによって、どれくらい時間が経過しているか (= 惑星の年齢 = おおよそ恒星の年齢)が変わってきます。

この差は、年齢が若い時ほど大きくなります。実は、これまでに惑星の姿が捕らえられていた恒星の年齢は非常に若く、惑星がどのように誕生したか次第では、「本当は惑星ではなく、褐色矮星(小さな星)なのかもしれない」可能性がありました。
しかし十分に時間が経つと、こうした差はほとんどなくなります。今回のGJ504という恒星は非常に年老いていた(1億 – 2.3億歳)おかげで、この差(= 惑星がどのように誕生したか)が問題になりませんでした。

さらに、恒星自身の自転から推定する手法を採用したことで、従来よりも良い精度で恒星の年齢を求めることにも成功しました。

こうして、木星の3倍-5.5倍の質量を持つ「本当にガス惑星」だということが分かりました。

もう一つ面白い特徴は、この惑星が約43.5AUという非常に遠い場所に存在したことでした。天王星や海王星よりも遥かに遠い距離に、木星のような惑星が存在していることになります。

それでは、この惑星はどのようにして誕生したのでしょうか?

科学者たちは、「昔はもっと内側にいたけれども、何らかの理由で今の場所までやって来た」と考えています。その証拠は残っているのでしょうか。
もし他の惑星によって弾き飛ばされたのだとすると、飛ばした張本人が内側にまだいるはずなのです。研究チームは他の惑星がいないかどうか、これから調べていく予定です。
「犯人探し」の結果が今からとても楽しみですね。

「太陽系以外の惑星の姿を見てみたい」こんな夢のような話が現実のものとなってきています。

最後に、今回見つかった惑星には何と雲がないかもしれないそうです。宇宙にはまだまだ、私たちの想像を超えた、知らない世界が広がっています。

堀 安範(国立天文台 理論研究部)

一覧へ戻る

  • Clip to Evernote
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ページトップへ戻る