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スーパーアースの空は青い?

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スーパーアースの空は青い?

今日 9月4日、「青い光で見たスーパーアースの空」というプレスリリースが発表されました。共同研究者として携わりました著者から皆さんにご紹介したいと思います。

スーパーアース (super-Earth)とは、漢字で書くと「超地球」となりますように、地球から海王星(地球の約15倍の質量)程度の大きな惑星のことです。

今回、国立天文台、東京大学、東京工業大学の研究チームは、すばる望遠鏡を用いて約40光年離れたへびつかい座の近くにある GJ1214 (グリーゼ1214)を観測しました。GJ1214は太陽の約0.15倍の質量を持ち、小さく・冷たい恒星で、赤色矮星とも呼ばれます。

研究チームは、恒星 GJ1214の前面を惑星(GJ1214b)が通過する「トランジット」という現象を観測しました(図1を参照)。トランジットでは、恒星の光を惑星が覆い隠す時に、暗くなる度合い(減光率と言います)から、惑星の大きさを推定できます。

図1
© 国立天文台

惑星 GJ 1214bは、約6倍の地球質量、約3倍の地球半径を持つと見積もられています。大きさ以外に地球と大きく異なる点は、1年が約1.6日と非常に恒星に近い場所にいることです。そのため、表面温度(厳密には、平衡温度)は 300℃以上の高温に達していると予想されます。

今回、すばる望遠鏡の装置 Superme-Cam・FOCASを駆使して、恒星からの光を詳しく見ることで、GJ1214bの大気を通過してきた光の成分(透過光 or 透過スペクトルと呼びます)を取り出すことに成功しました。

図2
© 国立天文台

もし、大気の主成分が、木星・土星のような水素の場合、レイリー散乱 (Rayleigh scattering)という現象が見られます。この現象は、昼は青空になり、夕焼けは赤くなる原因になっています。レイリー散乱は、赤い光よりも青い光の方が、大気中の分子に散乱されやすい特徴があります。昼間は散乱されやすい青い光で満たされる空も、地平線に沈む夕暮れ時には散乱されにくい赤い光の方が遠くから届きやすいため、赤焼けに見えます(図2 上段を参照)。

一方、大気が水のような成分 (GJ1214bは恒星に非常に近いので、水蒸気になります)から構成されている場合には、レイリー散乱の傾向は見られません(図2 中段を参照)。

さて、スーパーアース GJ1214bの空はどうだったのでしょうか?

実は青い光りで見た結果、強いレイリー散乱の兆候は見られませんでした。そのため、一つの可能性として、スーパーアース GJ1214bの空は、水蒸気で覆われている可能性が高いことになります。

ただし、地球のように厚い雲(高温のGJ1214bでは、Na2S, ZnS, KClのような成分の雲かもしれません)があると、地球に届く光を宇宙空間へ跳ね返してしまいます。その結果、雲の存在で届く光の量が少なくなるため、レイリー散乱の影響が弱められてしまいます(図2 下段を参照)。

分厚い雲が存在している可能性も否定は出来ませんが、水蒸気で覆われたスーパーアースGJ1214bの空は、地球とは全く異なる姿をしているかもしれません。

地球の地上で見る昼とは違った昼の世界が広がっていると思うと、宇宙は満天の星で輝く夜空だけでなく、昼の空にも神秘的な宇宙の姿が広がっているようです。

スーパーアースから望む昼の空は、どのように見えるのでしょうか?ぜひ、皆さんも想像して見て下さい。

堀 安範(国立天文台 理論研究部)

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