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PLANETPLANETシリーズ第4回 ハビタブル惑星=生命が存在できる惑星?

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PLANETPLANETシリーズ第4回 ハビタブル惑星=生命が存在できる惑星?

今回の『理の惑星』コラムは、アメリカ人研究者によって執筆された記事を翻訳してお届けするPLANETPLANETシリーズ第4回です。第1回第2回第3回もどうぞ。


原文:The habitable zone, part 1

地球外生命を見つけるにはどのような惑星を探せばよいのでしょうか。

「当然、ニュースでよく聞くハビタブルゾーン(ゴルディロックス・ゾーン)にある惑星を探せばいいのでしょう。ハビタブルゾーンにある惑星には生命が存在します」

果たしてこれは本当なのでしょうか。

結論としてはこれは正しくありません。

よく言われる「ハビタブル」とは、言葉の意味こそ「居住可能」という意味ですが、実際には科学者の間では「表面に液体の水が存在できる」という意味で使われることが多いのです。つまり、ちょうどこの領域内に惑星があれば惑星の表面に水があってもよい、というだけのことなのです。本当ならば「液体の水があるゾーン」とでも表現するべきところでしょう。

ここでは今後、ハビタブルという言葉は、注意書きがない限り「液体の水が存在できる」と定義します。

最近、世間では「ハビタブル惑星」の検出の度に地球外移住や、地球外生命の存在について話題が沸き立つことが多いのですが、実際に生命が発見されたわけではなく、「ハビタブル惑星」というものが見つかったに過ぎないということに注意が必要です。
というのも、地球に倣うような生命が存在する惑星と確定するために必要な、大気および地表面の水の有無といった情報を、まだ我々は全く得ていないのです。
月も地球とほぼ同じ軌道にある天体ですが、その実態はクレーターに覆われており、大気が極めて薄い砂漠で生命とは縁遠い世界であることからもよく分かります。

従って、生命を有する惑星を探すには、もっと詳しい条件を知る必要があるのです。

ひとまず今回は「ハビタブルゾーン」とはどこにあるのか、考えてみましょう。

液体の水が存在する条件

表面に水をとどめる惑星は、必ず水蒸気の大気を保持します。これは水というものが存在するとき、水蒸気の気圧で水を押すことで蒸発を防いでいるためです。これがなければ氷と水蒸気の状態でしか存在できないことになってしまうのです。

ここで仮想的な惑星「アクア」を考えてみましょう。
この惑星は岩石の表面に水分が十分に存在しています。
アクアが主星に近過ぎると、高温で水分は完全に蒸発し、水蒸気の大気としてしか存在できません。逆に主星から遠過ぎると、水分は凍結し氷となり、僅かな水蒸気と氷に覆われた惑星となるでしょう。そしてハビタブルゾーン内では、適度な水蒸気圧によって安定して液体の水が存在する、ということになるのです。

ちなみに、「液体の水」が存在できる温度は、摂氏0℃から、なんと374℃までなのです。これは「液体の水」という状態が、温度だけでなく圧力(気圧)にも関係しているためです。(これ以上高温になると、圧力を上げても、もはや液体という状態ではなく、「超臨界状態」という別の状態になってしまいます)
地球上で生物が存在する最も高温の環境は摂氏130℃程度なので、ハビタブル惑星というものが必ずしも地球と同様の生命が生きてゆける環境になるとは限らないのです。

地球はハビタブルゾーンから外れている!?

惑星アクアのように水蒸気大気の存在だけを考えた場合、もう一度ハビタブルゾーンを考えてみると、驚くほど狭い領域であることが分かります。

なんと金星と地球の軌道の中間のみに存在し、地球すらもハビタブルゾーンに入らないのです。
これは水蒸気の温室効果が非常に強いためで、ある太陽との距離を境に、温室効果にブレーキがかからなくなり、全ての水が蒸発するまで温度が上昇してしまうためです。(暴走温室効果)
またその逆も然りで、太陽からの熱の流入が弱いと、水蒸気が少なくなり温度が保持できないため水蒸気が凍り付き、さらに水蒸気大気を薄くしてゆき、温室効果はますます弱まるでしょう。仮に惑星アクアが地球軌道にあると、凍りついてしまうのです!

このハビタブルゾーンの内側については、雲などの太陽光の反射を強める効果の有無で、さらに内側に広がる効果が期待できるのですが、外側はこれで概ね決まっています。

惑星アクアで考えたハビタブルゾーンでは地球軌道にある惑星はハビタブルではないという結果になってしまいました。一体どういうことなのでしょう?

これじゃあ今、ここにハビタブル惑星である地球が存在することと矛盾してしまうのでは?ということになりますが、実際の惑星ではもっと状況は複雑で、雲が一様に地表全体を覆うことはなく、温まる(冷える)度合いは不均一です。極には氷と水が一緒に存在していたりもします。
こういう事実が、本当の意味の「ハビタブル(生命居住可能)」条件をもっと詳しく決める手掛かりになるかもしれません。

なんだかハビタブルという言葉の本来の意味(生命居住可能な環境)と、実際に使われている意味(液体の水を有する)との違いも含めて、非常に混乱を誘ってしまう話になってしまいましたが、またいつかこの話の続きをすることにしましょう。


PLANETPLANETシリーズ、次回で最終回です。タイトルは「地球の水はどこからやってきたのか?」です。「水」は生命を宿すのに重要な役割を果たしたと考えられています。人類も水が無いと生きていけませんね。この水はどこから来たと思いますか?とても大切な問題です。次回をお楽しみに。

訳者:原川 紘季(国立天文台 TMT推進室)

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