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大食漢の憂鬱(タイプI 惑星移動)

物語に隠された、惑星の秘密

大食漢の憂鬱(タイプI 惑星移動)

生まれたばかりのころ、僕の周りには友達がたくさんいた。その頃はそれだけでよかったんだ。
でもどうしてだろう? 僕より小さい近くの友達がとてもおいしそう。
食べてみたら、その友達の分だけ僕は強くなった。とってもおいしい。僕は夢中になって自分より小さい友達を食べ続けた。
気がついたら僕は大きくなっていて、僕の周りに同じ大きさの友達はいなくなっていた。

その頃から世間の風が、僕には強く感じられるようになってきた。
世間の風には2種類あって、一つは僕を褒め称える追い風。もう一つは僕を貶める向かい風だった。
追い風は僕の足に吹き付けて、おかげで僕は調子に乗って速く走れるようになると思った。でも、冷たい向かい風が僕の顔に容赦なく吹き付けた。
世間は僕の揚げ足を取ることの方が面白いらしく、結局向かい風の方が僕には強く吹き付けた。

僕はなんだか生きる気力を失ってしまって、足元の灼熱の地獄に堕ちてゆく気がした。
遠くを見渡すと僕と同じように風に打ちのめされた人たちがいて、彼らも程度の差こそあれ、打ちひしがれているようだった。

地獄が近付いてくる。
辛くて仕方なかったけれど、僕には耐える術がなかった。
地獄へ向かって転げ落ちながら、ひたすらこの好奇の嵐が収まるのを待つことしかできなかった。
僕は目をかたく瞑り、心を閉ざした。食べるものはしっかり食べながら。

もうどれくらい時間が経ったのか全然分からない。1000万年は経ったと言われても信じてしまうくらい。
ゆっくりと目蓋を開けて、周りを見渡す。
風は収まっていた。足元の灼熱地獄は思ったよりも遠く、むしろ暖かな熱を僕に与えてくれていた。
僕より地獄に近かった同類はもうどこにも見当たらない。
僕は生き延びた。

これから先は何があるのだろう?ちょっと不安にはなるけれど、きっと嵐はもう来ない。
ひとまずはこの暖かな光の中で、ゆっくりと過ごすことにしよう。

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※惑星生成シミュレーターの『タイプI 惑星移動』の制限が解除されました。

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