理は、ささやかな日々の中で息を潜めている。この街の、無数の物語。それは惑星の秘密へと繋がる道。

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彼女と僕(平均運動共鳴)

物語に隠された、惑星の秘密

彼女と僕(平均運動共鳴)

帰りの電車からは、真っ暗な中降りしきる雪だけがみえた。
年末年始の休みに伴う一年ぶりの帰省だ。
久しぶりの大雪となり、運行が心配だったがなんとか電車は止まらずに済んだようだ。

この時期は懐かしい面々と会えることが本当に楽しみだ。
駅に着くなり例年のごとく、高校の同期の飲み会に合流した。

仕事の話や子どもの話、そして思い出話など話題は尽きない。
と、そんな中、飲み会も終わりに差し掛かった頃、彼女は遅れて現れた。

彼女は二年ぶりの日本だそうだ。海外で暮らす彼女とはこのタイミングでしか会わない。
この前会ったのも二年前だった。

ちょうど彼女と僕だけが同じ方向のバス停なので、一緒に帰ることになった。
「ここを歩くと思い出すね。」
そう言って雪の降り積もる道を一緒に歩いた。

海外でのこと、二年ごとに帰国していることや今の仕事。
少しだけ話した。それぞれ環境は大きく変わってしまったが、変わってないところもあるな。

そう思っているうちに、いつの間にかふたりとも黙って歩いていた。
積もり積もった話はたくさんあるけれど、お互いに流れる時間を感じたくて、それぞれの雪を踏む足音に聞き入っていた。
ふと彼女の横顔をのぞいたら、何だかすこしだけ笑っているように見えた。

雪は止み、僕たちはそのままバス停につき、同時に彼女の乗るバスがやってきた。

また二年後に会おう。それまで元気でね。
そう約束して僕たちは別れた。

また新しい季節がやってくる。

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【解説】平均運動共鳴

二つの惑星が太陽の周りを回っているときに、二つの惑星が最も接近する瞬間を会合と呼びます。
この会合の時点で惑星間の重力が最も大きく働くことになりるので、二つの惑星の軌道の安定性に強く影響します。

一方、二つの惑星が整数比の軌道周期を持っていると、二つの惑星が会合するときはいつも同じ場所になります。
よって毎回の会合で同じ重力の働き方をするので軌道の長期的な安定性に大きな影響をおよぼすことが知られています。
このような軌道状態を平均運動共鳴と呼びます。

平均運動共鳴にある場合、会合の時に外の惑星が遠天、内側の惑星が近点にいる場合が最も安定になります。なぜならば、この組み合わせが最も惑星の最接近距離が大きくなるからです。
また逆の場合、つまり外側の惑星が近点、内側の惑星が遠天で会合する場合は惑星どおしが最も近づいてしまうため、惑星の軌道は不安定になります。

平均運動共鳴とは、このような特定の軌道配置の時だけに働く効果ですが、太陽系内にも平均運動共鳴の状態にある天体はいくつか存在ます。一つは木星の衛星群のイオ・エウロパ・ガニメデです。この三つの天体はそれぞれが平均運動共鳴の状態をとっており、非常に安定な軌道となっていることが知られています。

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