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雨に願いを(流星群)

物語に隠された、惑星の秘密

雨に願いを(流星群)

傘を折り畳み、雨粒をたっぷりと溜め込んだ芝生の上に横になる。その冷たさに思わず声が出そうになるのを、必死で押し殺した。

濡れた芝生のベッドは決して心地良いものではない。しかし、仰向けになり、空から降る雨を体いっぱいに受け止める。こんな自分の姿にもかかわらず、思いがけず、ハニカんでしまう。

雨の日、街はその姿を変える。

互いの傘がぶつかりあわないように牽制し合いながら、道を行き交う人々。雨を嫌うように、急ぎ早に街を駆け抜ける人々。降り続く雨を憂うような目で見つめながら、カフェで雨宿りをする人々。

理由は違えど、みんな、目の前をただただ通り過ぎて、地面に落ちてゆく"同じ"雨を見ている。

しかし、 芝生の上に横たわるボクの眼から見る雨の日の景色は、まったく違う。

空に大きな雨の蛇口が一つある。雨の日は、雨の蛇口がひねられて、そこから放射状に雨粒が降り注いで来るように見える。降り注ぐ雨粒はそれぞれ一つ一つ軌跡を描き、夜空の流れ星となって目に映る。幸せが訪れる四葉のクローバー探しも一喜一憂する花占いもいらない 。雨の蛇口が開いた日には、叶えたい願い事がなくなってしまうから。

一段と雨足が強くなって来た。

全身ズブ濡れの中、また、思いがけず、ハニカんでしまう。

もう少しだけ雨に願い事をしよう。

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【解説】流星群:毎年、同じ季節にある一点から放射状に出現

太陽の光に照らされた彗星は、宇宙空間に塵を巻き散らします。地球がこの塵の群れを通過する時、秒速数10km(時速ではなく、秒速!)というもの凄い高速で、 地球大気へ降り注ぐ大量の塵が流星として観測されます。これが流星群と呼ばれる現象です。

地球に突入する塵の群れは見かけ上、ある一点(放射点と呼ばれる)から放射状にやって来るように見えます。いま、目の前に平行な2本の道があるとします。2本の道は遠く先では一点に交わるように見えますね。これと同じです。また、雨の日に空を見上げた時に、天井のある一点から放射状に降り注いで来るように見えるのも同じ理由です。こうしたことから、流星群は、ある一点に位置する星座にちなんで、**座流星群と呼ばれる習慣があります。

地球は、決まった時期に、彗星が巻き散らした塵の通り道に近づきます。そこで、毎年、同じ季節に**座流星群が出現することになるんですね。

今年の夏も、やぎ座流星群、みずがめ座流星群、はくちょう座流星群、そして、有名な「ペルセウス座流星群(※)」が見られます。ぜひ、夜空を見上げてみて下さい。
※ ペルセウス座流星群:スイフト・タッフル彗星の塵

【コーヒーブレイク】:いろいろな名前?

流星、小惑星、彗星、隕石(少し詳しい方だと宇宙塵、惑星間塵、微隕石)というコトバ、みなさん、一度は耳にされたことがあると思います。

さて、違いはご存知でしょうか?

今回は、それぞれの名前について紹介したいと思います。

「小惑星 (asteroid)」は、太陽の周りを公転する小さな天体をさします。その中でも、コアや尾を伴うものは、ほうき星、または「彗星(comet)」と呼ばれます。

太陽系に存在する天体から地球にはるばるやって来た宇宙からの贈り物で、1mm以下のものを「宇宙塵(cosmic dust)」、それより大きなものを「隕石(meteorite)」と呼んでいます。

隕石には、火星や月からやって来たものもあれば、小惑星(例えば、ベスタ)起源のものもあります。宇宙塵は採集される場所によって、さらに2つの名前で呼ばれます。地球の大気上空、成層圏で採取されたものは、「惑星間塵(interplanetary dust:0.01mm程度)」、極地の氷床で採集されたものは「微隕石(micrometeorite:0.1mm程度)」と呼ばれています。

流星または流れ星(meteor or shooting star)は、地球に降り注いだ隕石や宇宙塵の通り道が光として見えたものを言います。流星の大部分は、彗星の巻き散らした塵が原因と考えられています。

いかがだったでしょうか?

とても複雑ですよね。

最後に、実は正式な日本語名のないものも紹介したいと思います。

英語では、地球に降り注いだものは隕石(meteorite)と呼んでいますが、地球に降り注ぐ前は、meteoroid(メテオロイド)と英語で呼ばれます。しかし、このメテオロイド、日本語名がないんです。ぜひ、みなさんもなにか良い名前がないか考えてみて下さい。

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